アルツハイマー型認知症、認知症と失禁

アルツハイマー病または認知症の入居者における失禁管理に、パーソン・センタード・ケアがどのように役立つか。
入居者がシャツのボタンをはめるのを介護士が手伝っている 入居者がシャツのボタンをはめるのを介護士が手伝っている

介護施設の入居者の方の約49%が何らかの形の認知症を抱えています*。中でもアルツハイマー病は最も多く、認知症全体の60~70%を占めると言われています**。認知症は記憶やその他の認知機能を低下させ、移動能力や手指巧緻性にも影響します。これらの症状はいずれも失禁の原因になる可能性があります。入居者の方は自分がどこにいるのか、なぜそこにいるのかを忘れることがあります。また、トイレに行きたいと伝えられなかったり、失禁するまで排泄の必要性に気づかなかったりする場合もあります。

ここでは、認知症の概要と、パーソン・センタード・ケアが認知症やアルツハイマー病の方の排泄ケアにどのように役立つのかをご紹介します。

認知症とは?

認知症とは、脳の病気によって引き起こされる様々な症状をまとめた総称です。

世界保健機関(WHO)は、認知症を「記憶力やその他の認知機能が、少なくとも6か月以上にわたって持続的に低下し、仕事や社会活動、そして自立した生活を送る能力に支障をきたす状態」と定義しています。

屋外で座りながら看護師と一緒に笑い合っている男性入居者
. 屋外で座りながら看護師と一緒に笑い合っている男性入居者

認知症とは?

認知症とは、脳の病気によって引き起こされる様々な症状をまとめた総称です。

世界保健機関(WHO)は、認知症を「記憶力やその他の認知機能が、少なくとも6か月以上にわたって持続的に低下し、仕事や社会活動、そして自立した生活を送る能力に支障をきたす状態」と定義しています。

フェイスマスクをつけた入居者が歩くのを看護師が手伝っている

アルツハイマー型認知症

認知症の方の過半数はアルツハイマー病であり、この病気は脳に影響して記憶障害や混乱を引き起こし、思考・理解・解釈などの脳機能を低下させ、場合によっては停止させます。

認知症の他のタイプと原因

認知症には、血管性認知症、レビー小体型認知症(DLB)、パーキンソン病認知症、前頭側頭型認知症などがあります。高齢、糖尿病、心臓病、遺伝などが危険因子として挙げられます。また、女性は男性よりも認知症を発症しやすい傾向があります。

介護士と一緒に屋外を散歩する笑顔の高齢女性入居者
. 介護士と一緒に屋外を散歩する笑顔の高齢女性入居者

認知症の他のタイプと原因

認知症には、血管性認知症、レビー小体型認知症(DLB)、パーキンソン病認知症、前頭側頭型認知症などがあります。高齢、糖尿病、心臓病、遺伝などが危険因子として挙げられます。また、女性は男性よりも認知症を発症しやすい傾向があります。

 

*Required fields

早期

気分のむら、ちょっとした行動の変化、物忘れなどが見られることがあります。これらの症状は分かりにくく、「年のせい」と見過ごされがちです。

 円形の枠の中に、杖を使って歩く高齢者のシンプルなアイコンが描かれている。

*Required fields

中期

物忘れが激しく、コミュニケーション能力が低下し、日常の作業が困難になることがあります。

青く縁取られた円形アイコンに、頭に手を当てた人物の濃い青のシルエットと、その上に疑問符が描かれており、混乱や疑問を表している。

*Required fields

末期

他者の介護に頼り、時間や場所の見当がつかず、家族や見慣れた物の認識が難しくなります。

円形の枠の中に、ケアと思いやりを象徴する、ハートを持った手のアイコンが描かれている。

認知症の行動・心理症状(BPSD)

認知症のある方は、自分のニーズを伝えることや周囲の状況を理解することが次第に難しくなり、その結果としてケアへの抵抗が生じることがあります。実際、認知症の方の90%がBPSD(行動・心理症状)を経験し、そこには不安、無関心(アパシー)、落ち着きのなさ、被害妄想、幻覚、反応的な行動などが含まれます。 

BPSDを引き起こす要因は様々です。痛み、便秘、かゆみ、睡眠不足、プライバシーの欠如、ストレスの多い環境などが挙げられます。 

BPSDは生活の質に大きく影響するため、パーソンセンタード・ケアを通じてこれらの要因を特定し、最小限に抑えることが重要です。

パーソン・センタード・ケアとは?

パーソン・センタード・ケアとは、入居者の方を対等なパートナーとして扱い、自立性、生活の質、ウェルビーイングを向上させるために、ご自身でできることを支援することです。そのために必要な知識や補助具を提供して、自信を持って生活できるようサポートします。 

認知症の方をケアする際は、尊厳・思いやり・敬意をもって接し、その方の強みや能力の発揮・向上を支援し、できる限り長く自立した生活を送ってその人らしさ(アイデンティティ)を保てるよう支えることが重要です。 

まずは入居者の方のことを理解し、ご家族と話し合いながら、ご本人にもケアに参加していただきましょう。活動への参加は、ストレスや問題行動の予防にも役立つことがあります。音楽、マッサージ、活動的なライフスタイル、屋外で過ごす時間を通じて症状の緩和を目指しましょう。指示や行動は一つずつ、焦らず、相手の反応を待ちながら進めることが大切です。

パーソンセンタードケアで目指す生活改善の方向性

入居者の方が健康的で活動的なライフスタイルを楽しむように促すこと、社会的な交流の維持、良好で規則正しい睡眠の習慣は、いずれも認知症の症状の改善につながる可能性があります。

その人にとっての排泄習慣の維持に向けて

排泄の個別ケアによって、入居者の方の自立を可能な限りサポートします。ここでは、入居者の方の尊厳、快適さ、安全を確保しながらそれを実現する方法をいくつかご紹介します。 

  • 入居者の方のニーズをアセスメントし、個別の排泄のタイミングを設定します(TENA Identifiや排尿日誌などのツールが役立ちます)。 
  • トイレに行きたい兆候がないか観察し、必要に応じてサポートします。 
  • TENAパンツのように、着脱が簡単な衣類や排泄ケア用品を用意して、自立を維持できるようにします。 
  • トイレ、照明スイッチ、便座をわかりやすく表示して、入居者の方にトイレの場所が確実にわかるようにします。 
  • 夜間はトイレの場所が分かりやすいように、トイレのドアを開けて照明をつけておきましょう。また、ベッドの横にポータブルトイレを設置するのも有効です。 
  • 入居者の方がご自身で衛生管理やスキンケアを行えるよう、使いやすい場所に衛生用品を配置しましょう。 
  • 高さのある便座や手すりなどの移動補助具を活用しましょう。
TENAパンツとTENA ProSkinスリップの製品画像

コンチネンスケア用品

TENAは幅広い失禁ケア製品やサポート用品を提供しています。自立を促し、トイレ排泄習慣をサポートするTENAパンツから、必要なときだけ交換できるようにする交換表示ライン付きの製品まで取り揃えています。認知症の方の中には水を怖がる方もいるため、TENAウォッシュグローブやシャンプーキャップ(※日本でのお取り扱いはありません)のような洗い流し不要の製品は、スキンヘルスと自立の維持に役立ちます。また、TENAスキンクリーム(※日本でのお取り扱いはありません)は肌の乾燥を和らげます。

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Josefine Grandin(地区看護師、泌尿器療法士)による監修(2023年6月8日)

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