女性の失禁

女性の10~12%が定期的に尿失禁を経験していると言われ、女性に最も多い尿失禁のタイプは、腹圧性尿失禁で25~49歳で最も罹患率が高く、その後は加齢の上昇に伴い減少します。これに続くのが切迫性尿失禁で、この尿失禁は強い尿意の出現と同時に尿が漏れます。その量は多く、患者様にとってはより恥ずかしい思いをすることが多いのです。

診断評価

女性が尿失禁の症状を訴えている場合、腹圧性尿失禁、切迫性尿失禁または混合性尿失禁の診断を行う前に、その他の病理を除外することが重要です。これには、頭、首または脊髄の傷害、糖尿病などの関連症状の既往歴、運動、類似疾患、家族歴ならびに泌尿器症状の解析と身体検査などが含まれます。

症状の解析では、報告されている症状の発現と失禁の内容を検証します。膀胱および尿道の感染を検査し、尿一般検査を必ず行います。可能であれば、排尿の時間と量、摂取する水分の量と内容を記録する排尿日誌をつけてもらいます。

身体検査では、便秘、脱肛、腫瘤または腫瘍、妊娠、出産または過去の手術や傷害による瘻孔および損傷を除外してください。頭部外傷、多発性硬化症、パーキンソン病、認知症などの場合、神経症状と精神状態を評価してください。

最後に、QOL(生活の質)、運動性およびトイレ利用の可否から治療の必要性を判断します。

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<<腹圧性尿失禁>>

腹圧性尿失禁とは、腹圧を加えた時、つまり力を入れたとき、くしゃみや咳をしたときに不随意的に尿が漏れるタイプです。軽度の時は少量ですが、重度になると多量に尿が漏れる場合もあります。

<代替的治療>

①ライフスタイル

食事や水分の摂取、体重減少、喫煙などのライフスタイルを見直します。腹圧が高まるため、肥満の人は腹圧性失禁の傾向が高まります。喫煙者は咳をすることが多いため、尿漏れの発生率が高まります。

  • 水分摂取が多すぎても少なすぎてもよくありません。尿量を減少するために水分摂取を減らすと、膀胱への刺激が進み頻尿になったり、感染が促されます。
  • カフェインや発泡性の飲料も、アルコールと同様に膀胱を刺激するので避けるようにします。
  • 現在服用している薬に相互作用や医原性の作用がないかを検証します。

②骨盤底筋運動

腹圧性失禁に対する第一選択治療として一般的に受け入れられているのが、膀胱の支持力と尿道の閉鎖圧力を高めることを目的にした骨盤底筋運動です。この運動を正しく行い、効果を得るには、理学療法士に相談するのが最も有効です。身体検査は、骨盤底筋の状態を判断し、理学療法士がその人に適したアドバイスをするのに役立ちます。

バイオフィードバック電気刺激は男女を問わず骨盤底筋運動の実施に役立ちますが、理学療法士または排泄ケアの専門家の指導に従うのが理想的です。

③医療用具 

尿失禁専用に作られた失禁パッドが、尿漏れに対処する製品として最も一般的に使われています。使い捨て製品と再利用可能な製品の両方があり、その特徴はそれぞれ異なっていますが、その多くは高水準の製品で、利用者にとって融通が利き、使いやすいものとなっています。患者は、日常のニーズに合わせて、パッドやパンツを使い分けることが可能です。パッドやパンツは、日中用に薄くてかさばらないものや、大量の尿を吸収できる大きさのものまで、目的に合わせて開発されています。どの製品を使用するべきかは、コンチネンスケアアドバイザーに相談してください。

特定の状況下での尿漏れを防ぐために、その他の尿吸収用品や、尿の流れを抑制する製品も利用できます。一時的な手段、手術後、または長期的な対処法として、カテーテルが使用されることもあります。カテーテルは、間欠的または留置型として使用され、患者の体に取り付けた排泄バッグ、または導管内でカテーテルを定期的に空にできるバルブに接続することができます。恥骨上留置カテーテルは、尿道ではなく、腹部から外科的に導入されます。患者や介護者は、カテーテルの交換や洗浄方法に関する研修を受けることできます。

④薬物療法と外科的治療

薬物療法

腹圧性失禁に効果的な治療が販売されています。これらはデュアル・ノルアドレナリン/セロトニン再取り込み阻害剤と呼ばれ、ヨーロッパの一部の市場で販売されています。研究の結果、これらと骨盤底筋運動を併用することで、最高の結果を得られると考えられます。

外科的治療

泌尿器科医または婦人科医は、腹圧性尿失禁に対して外科的な手段を薦めることがあります。開腹手術、日帰り手術、ならびにバルキング剤の使用が行われています。ほとんどの症例について、腹圧性尿失禁の手術は、保存的および薬物療法で望み通りの結果が得られなかった場合の三次的ケアと考えるべきです。

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<<切迫性尿失禁>>

切迫性尿失禁・過活動膀胱は、尿意切迫感と同時または切迫感の直後に、不随意に尿が漏れるタイプを言います。重症の場合は多量に漏れます。頻尿(1日8回以上)や夜間頻尿(1晩に1回以上)が生じることもあります。

<代替的治療>

①ライフスタイル

トイレに行きやすい環境を整えます。これには患者の生活エリアをそれに合わせて特別に変える必要があります。便座を高くする、手すりをつける、寝室に移動式トイレを置くといった対応が患者の役に立ちますが、不器用な人の場合は、着脱が容易な服も効果的です。

②膀胱の再訓練

膀胱の再訓練とは、膀胱の許容量を高め、排尿の頻度を減少するための行動療法です。時間をかけて膀胱の過敏性を抑え、より多くの量の尿を貯留できるようにします。排尿日誌は、切迫性尿失禁の評価と膀胱再訓練の計画の第一歩です

③骨盤底筋運動

骨盤底筋運動は、筋肉を強化し、尿漏れを最小限化または無くすことで、腹圧性尿失禁と混合性尿失禁に対して非常に高い効果が認められていますが、切迫性尿失禁にも効果的です。バイオフィードバック電気刺激は、骨盤底筋運動の実施に役立ちますが、理学療法士または排泄ケアの専門家の指示に従うのが理想的です。

④医療用具

女性の中には、突然の不随意的な尿漏れに備えて、そのリスクがある場合に失禁パッドを装着する人がいます。尿漏れの量に合わせて、さまざまなデザインと形状のパッドやパンツが販売されています。使い捨て製品と再利用可能な製品の両方がありますが、経験豊富な排泄ケアアドバイザーが、血液を吸収する生理用ナプキンとは異なる尿を吸収するための排泄ケア用品を薦めてくれます。

特定の環境下での尿漏れを防ぐために、その他の尿吸収用品も利用できます。一時的な手段、手術後、または長期的な対処法として、カテーテル が使用されることもあります。カテーテルは、間欠的または留置型として使用され、患者の体に取り付けた排泄バッグ、または導管内でカテーテルを定期的に空にできるバルブに接続されます。恥骨上留置カテーテルは、尿道ではなく、腹部から外科的に導入されます。患者や介護者が、カテーテルの交換や洗浄方法に関する研修を受けることもできます。

⑤薬物療法と外科的治療

排尿筋の過活動には、抗ムスカリン作用性および抗コリン作用性物質が処方されます。腹圧性尿失禁の症状をほとんど伴わない切迫性尿失禁に対する外科的治療はほとんど行われていません。

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<<混合性尿失禁>>

混合性尿失禁では、腹圧性尿失禁の症状と切迫性尿失禁の症状が混在します。国際尿失禁会議の最近のガイドラインでは、主症状をまず治療するよう薦めています。

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<<その他の尿失禁>>

上記のカテゴリに属さないその他の失禁もあります。

  • 笑い尿失禁:若年者に多い失禁のタイプですが、成人後も継続することがあります。笑うことで排尿筋が不安定になり、失禁しますが、これは遺伝性と考えられています。
  • 機能性尿失禁:「トイレに行けない」「トイレが分からない」「トイレの使い方が分からない」などの理由で失禁します。排泄機能自体は正常です。